獄中47年・袴田巖死刑囚に再審無罪を!


THE HAKAMADA CASE
ENZAI             袴田巖さんの再審を求める会

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獄中からの叫び
 袴田さんが獄中から家族や友人に送った手紙・日記は約5000枚を数えます。以下にその一部を紹介します。


お母さん
僕の憎い奴は、僕を正常でない状態にして犯人に作り上げようとした奴です。
神さま―。
僕は犯人ではありません。僕は毎日叫んでいます。
ここ静岡の風に乗って世間の人々の耳に届くことをただひたすらに祈って僕は叫ぶ。
お母さん
人生とは七転八起とか申します。
最後に笑う人が勝つとか申します。
又、皆さんと笑って話すときが絶対きます。

1967(昭和42)年2月 母への手紙から

 
私も冤罪ながら死刑囚。全身にしみわたって来る悲しみにたえつつ、生きなければならない。そして死刑執行という未知のものに対するはてしない恐怖が、私の心をたとえようもなく冷たくする時がある。そして全身が冬の木枯におそわれたように、身をふるわせるのである。自分の五感さえ信じられないほどの恐ろしい瞬間があるのだ。
 しかし、私は勝つのだ。私は、今日、自分の生活に対する決意と行為が、一つなりとも卵を持って石に投げつけるに等しい無謀なものだとは思わない。
1973(昭和48)年1月26日 兄への手紙から

 
今、私は、先生に真実を訴えたくてこの手紙を認めております。
 小生は現在、濡れ衣を着せられて東京拘置所に捕らえられております。一、二審において、満腔の怒りをこめて権力犯罪を糾弾すると共に、一応の真実――正真正銘「小生は無実である」ことを訴えてきました。それは、文字通り小生の血叫びでありました。しかしこの真実である血叫びが過去十三年余にわたり未だに容れられません。この司法の無責任さに、小生怒りで肌があわだつ思いです。

1980(昭和55)年1月 ボクシング評論家郡司信夫氏への手紙から

 
良心は無実の人間の命を守る唯一の声である。暗く苦しい夜が長ければ長いほど、ひときわ声高く響く良心の声よ。暗鬱と悲痛と憤怒の錯綜した獄中一四年有余、私を支えたのはその声だ。
 鶏よ、鳴け、私の闇夜は明るくなった。
 鶏よ、早く鳴け、夜がゆっくりと明け始めている。

1981(昭和56)年5月6日の日記から

 
息子よ、どうか直ぐ清く勇気ある人間に育つように。
 すべて恐れることはない、そして、お前の友だちからお前のお父さんはどうしているのだと聞かれたら、こう答えるが良い。
 僕の父は不当な鉄鎖と対決しているのだ。古く野蛮な思惑を押し通そうとする、この時代を象徴する古ぼけた鉄鎖と対決しながら、たくさんの悪魔が死んでいった、その場所で(正義の偉大さを具現しながら)不当の鉄鎖を打ち砕く時まで闘うのだ。
 息子よ、お前が正しい事に力を注ぎ、苦労の多く冷たい社会を反面教師として生きていれば、遠くない将来にきっとチャンは、懐かしいお前の所に健康な姿で帰っていくであろう。
 そして必ず証明してあげよう。お前のチャンは決して人を殺していないし、一番それをよく知っているのが警察であって、一番申し訳なく思っているのが裁判官であることを。
 チャンはこの鉄鎖を断ち切ってお前のいる所に帰っていくよ。

1983(昭和58)年2月の日記から

 
六月一八日朝、雨昼間薄日が射す、日弁連に葉書、姉に日記発す。調査事項検討、午後運動に出る、走る。
 私は時に思うのだが、監獄の狭い運動場では十分に走れなので、せめて、百メートルくらいの距離でよいからめいっぱい走りたい、と。
 私が自由を勝ち取ったならば最初に叶えるのがこの果て無い夢であるに違いない。肩と股で風を切って走る。想像しただけで全身がうずくのである。

1984(昭和59)年6月18日の日記から

 
私の事実勝利の念は、孤独を受け入れる時、清められ、深められるものです。確かに孤独は私にとってもせつなく、辛いことですが、無意味ではないのです。忍耐しその中で謙虚に孤独を受け入れてみれば、必ず、はっと気付く深い勝利への意味がわかるのです。
 孤独から逃避し、何とか解消しようとあせって、ただ、自分の意志や思惑だけで押し通そうとすると、闘争には空しさやはかなさしか見いだせなくなります。そして虚無主義者となって闘争の真の意義と神秘的源泉に心を閉ざすことになります。もし絶対に孤独が闘いの源泉であり、神秘を秘めているとするならば、私共の闘争は孤独を知るために今の時期がしたたかな怨みと共にあるともいえるのでありましょう。
 何れにしても、冤罪は生きてそそがなければ惨め過ぎるのだ。

1984(昭和59)年11月11日の日記から

 
冤罪と闘ったボクサーの同志ミスター・ハリケーン・カーターへ
 カーター氏よ!ともかく晴れてよかったね。おめでとう!
 さてカーター氏よ!長い獄中生活の中であなたはボクシングへの情熱を忘れたことはなかったことでしょうなぁ!あなたも私もとても似たボクシングに対する情熱を堅持していたことでしょう。まさにその闘魂があなたの無実を晴らす立派な原動力であったことは疑いありません。
 私も正義の人の和に力を得て、アメリカ国民に劣らない日本国民の愛と英断を信じて、あなたに続くために最善の努力を尽くします。どうかあなたに等しいこの私の境遇の誼で、今後の私どもの冤罪闘争をご支援下さいますよう心からお願い申し上げます。

1989(平成元)年3月21日 ルビン・ハリケーン・カーター氏への手紙から

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